I. 濃厚流動食の種類
1. 濃厚流動食の分類
経腸栄養剤は天然食品を原料とした天然濃厚流動食と、天然食品を人工的に処理もしくは人工的に合成したものからなる人工濃厚流動食に分けられます(表1)。タンパク源、窒素源の違いで、例えば、乳たんぱくや卵たんぱくを使用した場合は、天然濃厚流動食となりますが、乳たんぱくをカゼインと乳清たんぱくに分けて、これらを原料とした場合は、人工濃厚流動食となります。 人工濃厚流動食は、窒素源の違いによって、半消化態栄養剤、消化態栄養剤、成分栄養剤に分類されます。半消化態栄養剤(polymeric formula)は、窒素源がタンパク質であり、消化の過程が必要です。これに対し、消化態栄養剤(oligomeric formula)はアミノ酸と低分子のペプチド(ジないしはトリ)を窒素源とし、消化の過程を必要とせずに吸収されます。成分栄養剤(elemental diet (ED))は窒素源がアミノ酸からだけなる栄養剤で、やはり消化の過程が必要はありません。半消化態、消化態栄養剤では窒素源の違いはありますが、糖質や脂肪の素材は同様で、消化態栄養剤の糖質や脂肪が半消化態栄養剤よりも吸収されやすいということはありません。
2.医薬品の経腸栄養剤と濃厚流動食品の違い
医薬品の経腸栄養剤は医師の処方に基づき処方され、保険適用となります。濃厚流動食品は入院中は食事として提供され、外来では自己負担となります。医薬品には臨床試験が必要とされますが、濃厚流動食品には必要とされません。患者の状況に応じて選択されます。