事業計画を平成30年度に更新しました。
自 平成30年 4月 1日
至 平成31年 3月31日
平成29年度も、当協会にとりましては、大きな外部環境の変化にさらされた年となりました。前年に入院時食事療養費が削減され、会員企業の販売等に影響が少なからずでました。平成30年の4月の診療報酬改訂時に、さらなる削減となった場合、いよいよ業界全体が退場を迫られかねない危機感をもってのスタートなりました。また、コネクターのISO化の導入が、私たち半固形流動食へさまざまな影響を及ぼしてくることが予想されます。さらに、厚労省も「薬から食事へ」というスローガンのもと、栄養の重要性へ活動をシフトしつつある中で、特別用途食品の位置づけは、在宅患者様を中心に増してくることが期待されます。このような状況の下、昨年度は、以下の4つの点を重点的に活動しました。
1) 診療報酬の改訂の案件については、引き続き、厚労省保険局、(公社)日本栄養士会と直接会話し、当協会の置かれている状況の説明を丁寧に行いました。その結果、入院時食事療養費の下げ止まりを達成しました。
2)総合栄養食品の規格見直しにつきましては、消費者庁との交渉を進め、平成30年度の早い時期に申請書を提出すべく、案の作成を行いました。
3)コネクターのISO化導入につきましては、デバイスメーカー団体であるMT-JapanとJSPEN、厚労省との情報交換を通じて、流食協としての意見を反映させながらスムーズに導入されるように交渉を行いました。
4)流食協の中長期計画につきましては、将来に向かって3段階(病院→在宅→海外)で拡大していくという方向性を作成し、外部の有識者含めて、ある程度の合意をとりました。特に在宅の対象者に向けての、経口摂取の流動食市場の拡大という新たなテーマにつきましては、対象者やその規格等につきまして、議論を開始しました。
上記4点の活動は、特に一部の企業の方々には大変なご負担をかけており、その結果して得られた成果も多数ございます。紙面上ではありますが、深く感謝させていただきます。
平成30年度は、29年度の重点テーマを、粛々と進めていく年にしたいと思います。いずれの案件も大変重いテーマではありますが、限られた労力の中で、継続的に行っていくためには、より多くの会員の方々の知見・経験を活かしていく体制にしていきたいと考えております。上記の内容とこれまでの基本方針に基づき、今年度は大きく4つの重点活動を行います。
一点目は、特活研の活動としての「総合栄養食品の新規格」につきましては、消費者庁への申請書の提出を夏頃には行う予定です。また、個別案件としての「食品添加物の認可申請」につきましても、グルコン酸銅、ビオチンの申請書の提出を行います。目標としては、2019年度中に、新しい総合栄養食品の規格として運用ができるところまで持っていくを目指します。
二点目は、平成32年の診療報酬の改訂対応につきましては、外部環境の変化を見定めながら、厚生労働省や日本栄養士会等関連団体との連携を継続して行い、適切な対応を行っていきます。
三点目は、中期長期的な計画につきましては、その骨子はある程度、協会内および外部の有識者の理解を得たと考えております。しかしながら、その計画をいかにして、実現していくかにつきましては、まだまだ、検討が十分とは言えません。今後、医療費がさらに厳しくなり、病床数が減っていく環境下では、病院向けの市場は横ばいが続くと思われます。これからは、在宅の患者様への貢献と業界団体の発展が両立できるような計画づくりを継続していきます。そのうえで、消費者庁とは、流動食協会の中期計画に基づき、「在宅栄養管理向けの経口流動食の新しい区分案」の策定に入っております。
最後に四点目として、「ISO化アダプターの医療現場への導入対応」を今年度の重点活動にあげます。昨年度に、厚生労働省から具体的な方向性、スケジュールが発出されており、半固形品の切り替え品の発売時期が2020年秋頃となりました。一方、デバイスメーカーの変更は来年度にも始まります。特に変換コネクターの供給対応につきましては、デバイスメーカー団体およびお客様と丁寧な協議と説明を行うことによるソフトランディングすることが必須です。これに対する対応を着実に行います。
また、上記重点活動以外にも「広報活動のさらなる進化、継続」、「新規会員の募集」などの地道な活動につきましては、会員一同の活動として、行っていきます。
いずれの活動にも各委員長の強力なリーダーシップのもと進めてまいりますが、これまで以上に調査、解析、官公庁との交渉、それに付随する資料の作成、他団体との連携など多くの業務を抱えている役員メンバーに負荷がかかってきております。どうか、会員皆様のこれまで以上のご協力をぜひ、お願いしたいと思います。
基本方針
(1)「総合栄養食品」の制度を見直し、業界の発展(在宅市場規模の拡大)につなげる。
(2)お客様、特に将来増えるであろう在宅医療現場の方々のための活動を推進する。
(HPの継続的改訂、総合栄養食品の普及啓発活動など)
(3)「濃厚流動食」を取り巻く各種課題(ISO導入、金銭的負担軽減)の解決に努める。
●技術委員会 (委員長:有泉 剛)
(1)活動方針
流動食の拡大に向けた許可基準見直し、医療政策及び規制導入における技術的な課題に対応する委員会
(2)平成30年度の活動テーマ
①食品添加物(グルコン酸銅・ビオチン)の使用基準拡大に向けた取り組み
-許可基準拡大の為の要請対応
②相互接続防止コネクタ(国際規格ISO80369-3)の導入迄の技術課題への対応
-円滑な導入の為の技術的サポート(制度委員会と連携)
③在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料施行(2018年4月1日)後の検討
-半固形栄養剤 特別用途 等
●制度委員会 (委員長:相原健司)
(1)活動方針
濃厚流動食にかかわる制度上の課題を抽出し、実態に即した円滑で健全な事業活動が可能な環境整備を具体的かつ強力に推進する。
(2)平成30年度の活動テーマ
1)「特別用途食品制度の活用に関する研究会(第4期)」への参画
① 総合栄養食品規格の提案
② 許可区分追加の提案
③ 適正広告自主基準の策定
2)栄養コネクターの国際規格に関する対応
3)在宅半固形栄養経管栄養法指導管理料に関する対応
●広報委員会(委員長:原 浩祐)
(1)活動方針
行政機関や濃厚流動食品を利用している医療機関関係者に対し、当協会及び濃厚流動食品の一層の理解を促すことを目的に、ホームページ等で啓発活動を行っていく。併せて、昨年度に続き本年度もホームページの大幅な改定により、ユーザーが日常的に使いやすいものを目指し、当協会の認知度を一層上げていく活動を行う。
(2)平成30年度の活動テーマ
①30年2月に実施した調査集計結果を参考にし、ホームページの改定を実施する(WEB改定員会)。
②2018年度の濃厚流動食品事業規模を算定し、ホームページ上で情報提供する。
③啓発活動の一環として第34回日本静脈経腸栄養学会にて展示を出展し、当協会の認知度調査等の調査活動を実施する。また、当協会が支援する『特別用途食品制度の活用に関する研究会』の実施する啓発活動と協業し、広報活動を行う。
④当協会及び濃厚流動食に関わる医療業界、行政の公開情報の取得に努め、ホームページ上でタイムリーに関連情報を提供する。また、ホームページ管理会社の変更を行う。
⑤ 技術委員会、制度委員会と連携を図り、重要案件の共有化を継続的に行う。
●保険委員会(委員長:可児 勝 理事)
(1)平成29年度活動方針
1)目標
平成30年度診療報酬改定において、流動食のみ提供の場合の入院時食事
療養費の現状維持を獲得する。
2)手段
◆日本流動食協会が厚生労働省に対し直接アクセスできる環境を構築し、その
うえで適切な政策提言等を行うことで活動目標を達成させる。
◆日本流動食協会に関連する学会・協会に対し流動食業界の現状理解を進め、
そのうえで活動目標の主旨に沿った要望書を取得し、もって活動目標達成の
ための一助とする。
◆流動食の主たるユーザーである病院・介護施設に対し流動食業界の現状理解
を進め、もって活動目標を達成させるための一助とする。